はじめに
愛知県弥富市にある株式会社ヤトミ製材は、山車(だし)の車輪製作を承っております。製材会社が山車(だし)の車輪製作を始めた経緯と、ヤトミ製材ならではの製作方法を代表取締役の加藤徳次郎さんにインタビュー形式で深堀っていきます。
「株式会社ヤトミ製材」の紹介
前項でも説明した通り、「株式会社ヤトミ製材」は愛知県弥富市にある製材会社です。創業以来、高度な技術力と世界最大級の製材設備を強みとしております。
製材事業に加えて、文化財保護事業にも取り組んでいます。過去には「陸前高田市にある奇跡の一本松の修繕」「西八龍社にある御神木の保存」などを手掛け、今回ご紹介する「山車(だし)の車輪製作」もその一部となります。
目次
車輪製作を始めた経緯と苦戦した「車軸の穴あけ」
Q:ヤトミ製材で山車(だし)の車輪製作を始めたきっかけは?
■加藤社長
「10年前くらいに、持ち込みの木材で山車の車輪製作を依頼いただいたのがきっかけです。その当時は車輪製作は初めての取り組みだったので、悪戦苦闘しながら納品した覚えがあります。」
Q:製作時に苦労した工程を教えてください
■加藤社長
「車輪製作で重要なポイントは、”車輪の成形”と”車軸の穴をあける”2つの工程です。車輪がきれいな円でなければ、スムーズに移動できなかったり、バランスを崩す可能性があります。また、すべて車軸の穴の位置・大きさが一致しないと、車輪同士が上手くかみ合わず、横転する可能性も高まります。」
「実際に製作をしていくと、車輪の成形は困難な作業でした。しかし、これまで数多くの丸太を製材してきた実績と、弊社の職人達の技術力のおかげで、一つ一つの作業を完遂することができました。」
「ただ、車軸の穴をあける工程はとても苦戦しました。恐らく一般的な車輪製作の会社だと旋盤機(せんばんき)を使用して穴をあけますが、弊社は旋盤機を保有しておりません。また、穴の大きさも85mm~105mmくらいの車輪特有のサイズで、これまで取り組んできた穴あけの技術転用に苦戦を強いられました。」
「そこで、旋盤機の代わりとして独自工作機の開発に取り組み、穴あけ工程の課題を克服しました。今では、その工作機に車輪を置いてチェーンソーを使用し穴あけを行っています。職人達の穴あけ作業の練度も向上しているので当初に比べ大幅な時間短縮を実現しました。」
ヤトミ製材ならではの車輪の成形と高い技術
Q:車輪の形に木を製材するのは難しい工程ではないのでしょうか?
■加藤社長
「弊社の製材機は写真を見て分かるように、一方向にしか切断ができません。そこで、まずは8角形に製材し、車輪を回転させながらきれいな円になるよう整えていきます。」
「きれいな円を作るのは、弊社にとってはそれほど難しい工程ではありません。それは、数多くの丸太を製材してきた実績と弊社の職人達の技術力のおかげであると心から感じています。」
無垢の木材での車輪製作と安価に提供できる理由
Q:無垢の木材を使用して車輪を製作することは可能ですか?
■加藤社長
「もちろん、弊社では無垢の木材から車輪製作を承ることができます。そこは、製材会社として数多くの木材を取り扱ってきた、ヤトミ製材の強みでもありますね。」
「また、車輪に使用する木材の選定などもお任せいただければと思います。山車の車輪製作は、地松(ジマツ)という木を使用することが一般的です。ですが、近年では地松の減少に伴い、価格が高騰してしまいました。地松の価格高騰によって、山車の修繕やメンテナンス費用に頭を抱える自治体も多いようです。
「そこで弊社では、地松の代わりに、アフリカン・マホガニーを採用しています。アフリカン・マホガニーは繊維が粘り強く、衝撃に強いという特徴があります。地松に比べて仕入れ値が安いため、より安く衝撃に強い車輪製作を提供することができます。」
車輪製作にかける加藤社長の想い
Q:車輪製作に力を入れてきた理由を教えてください
■加藤社長
「私の子供時代から山車というのは、お祭りやイベントに欠かせない存在でした。その文化を紡いで、自分の孫やその先の世代でも続く文化であって欲しいと願っています。」
「また、若い人達が消耗品として気軽に使えるようにというのは常に考えています。現代では、素材の価格高騰や製材会社の減少によって、山車をきれいな状態で保つことが重要になってきました。ですが、お祭りやイベントで若い人達が全力で山車を引けるように、できるだけ費用を抑えて短期間で納品できるよう会社として力を入れてます。」
ヤトミ製材の今後の取組み
Q:山車(だし)の車輪製作について今後の取り組みを教えてください?
■加藤社長
「今後は車輪の製作だけではなく、メンテナンスにも力を入れていきたいと考えています。木は生き物ですから、定期的にヒビ割れ防止剤などを塗っていかないとどうしても割れが入ってしまいます。車輪は一個でもかなりの重さがあるため、日焼け材を塗るのも一苦労です。実際にメンテナンスが行き届かず、本来4~5年程保てる車輪が1~2年で使えなくなることもあります。」
「そこで、弊社がそういったメンテナンス業務を代行し、保管方法をこれまでの知見からアドバイスしていきたいと考えています。正しく手入れすれば、修繕や買い替えの費用を抑えることができます。」
Q:最後にこの記事を読んでいる方に一言
■加藤社長
「年々製材会社が無くなっていく状況で、車輪製作ができる会社は減少しています。ヤトミ製材では、職人の育成や事業基盤の安定に力をいれており、100年続く製材会社を目指しています。」
「ぜひ、山車の車輪製作はヤトミ製材にお任せください。ご相談だけでもいつでも承ります。」
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